エンボディメントセラピーとは

エンボディメントセラピーは、米国ポラリティ協会で日本唯一の認定プログラムディレクターとして長年活動する早志 享子(はやし きょうこ)が、実践を通して学んだ技術をもとに、情報化社会における時代の変化や日本の社会背景をふまえ、ポラリティセラピーを包含する形で新たに開発したセラピーです。

エンボディメントセラピーの源流は、1920年代から自然療法医として活動したランドルフ・ストーン博士が創始したポラリティセラピーにあります。

ストーン博士は、薬に頼らない様々な療法を行う中で、「一度治っても同じ症状で戻ってくる」という既存治療の限界に直面しました。その限界を突破し、根本からの治療を目指すため、世界各地を巡りあらゆる医学・自然療法を学び、その知識を体系的に理論化しました。シカゴでの50年以上にわたる開業実績は、当時の医学界で「望みなし」とされていた患者たちにもたびたび効果をもたらしました。

当時の医学界の関心は麻酔や外科医学にありましたが、博士の唱える自然療法は、健康を追求する人々の間で徐々に評価を高めていきました。カリフォルニア州で始まったこの研究と活動は、脈々と受け継がれ、2019年には米国での正式な国家資格として認定されるに至っています。
エンボディメントセラピーは、この時代を超えて価値が証明されたポラリティセラピーの深い知恵を土台として開発されました。

ランドルフ・ストーン博士

私たちの身体は、磁石のように「+」と「-」の両極をもち、その間を生命エネルギーが絶えず流れることで、ひとつの大きなリズムを奏でています。このエネルギーの「極性(ポラリティ)」が、ストーン博士が飽くなき探求の末にたどり着いた身体の根源的な真実です。

ポラリティ(Polarity)は「極性」を意味し、単なる理論ではなく、私たちが生きている瞬間の生命のリアリティそのものです。博士は、すべての生命の中心には「ウルトラソニックコア」と呼ばれる微細な軸があり、そこから光のようにエネルギーが放射されていることを発見しました。

ストレスや感情の抑圧、外傷などによってこのエネルギーの流れが歪むと、生命のリズムは滞り、心身の調和は失われます。ポラリティセラピーでは、セラピストの手を通して、呼吸や鼓動の奥にある「生命の動き」に深く寄り添いながら、エネルギーの流れを優しく、そして根本から整えていきます。

このアプローチは、外側から症状を“治療”するのではなく、身体そのものが再び自らの中心へ還ることを促します。歴史に裏打ちされたこのポラリティの知恵が、「身体の中に再び住まう(エンボディメント)」という、深い自己調和の体験へとつながっていくのです。

エンボディメントセラピーイメージ

クラニオセイクラルセラピーは、エンボディメントセラピーの根幹となるもう一つの重要な技術であり、脳脊髄液(のうせきずいえき)の流れに繊細にアプローチします。

脳脊髄液は、脳と脊髄の神経を包み、保護する大切な液体です。この液体の流れを活性化し、脳硬膜(脳と脊髄を覆う膜)と全身の緊張の相関関係を観察しながら優しく解放していきます。

この手技は「クラニオセイクラルセラピー」として体系化されており、その創始者であるサザーランド博士と、ポラリティセラピーのストーン博士は深い交流があり、互いに学び合う関係でした。そのため、ポラリティセラピーにはクラニオセイクラルセラピーの技法が必須の技術として内包されています。

生命の極性(ポラリティ)から身体のエネルギーサイクルにアプローチし、さらに脳脊髄液(クラニオセイクラル)から神経系の深い層へ働きかけます。
このふたつの根幹的なアプローチを統合・交差させることで、クライアントをより深く、本質的な自己治癒と癒やしへと導くのです。

 

クラニオセイクラルセラピーイメージイラスト

エンボディメントセラピーのセッションは、まずクライアントの心と身体、その両方に丁寧に耳を傾ける対話(カウンセリング)からはじまります。
感情や思考は、身体の延長上にある「エネルギーの層」として扱われます。対話を通して、クライアントの内側にある滞りや分断をともに見つけ出し、それがどのように身体の感覚として表れているかを繊細に感じ取ります。

たとえば、長年「我慢する」というパターンがある場合、横隔膜や内臓が無意識に緊張し、呼吸が浅くなるなど身体のパターンとして現れます。プラクティショナーは、ポラリティの極性やクラニオセイクラルの周波数を理解しながら、両極をつなぐようにそっと手を添え、エネルギーと体液の流れを感じ取りながら静かに調整していきます。

このタッチは、筋肉や骨格を動かすのではなく、ストーン博士が長年の研究の末に見いだした「エネルギー体」そのものへの深いアプローチです。脊柱の周波数が整い、天地のバランスが回復すると、神経系が深く緩み、意識が深い呼吸とともに身体の奥へと還っていきます。

そのとき、人は再び「感じる身体」としての自分を思い出します。
心・体・魂のすべてをひとつに結びなおすこのプロセスこそが、エンボディメント(身体に再び住まう)への確かな道なのです。

エンボディメントセラピーカウンセリングイメージ


エンボディメントセラピーは、「心」「身体」「家族」「社会」「自然」など、私たちを取り巻くあらゆるつながりを見つめ直し、調和へと導く統合的なセラピーです。

情報化が進み、人と自然との関わりが希薄になりやすい現代社会において、「自分らしく生きる力」を見失ってしまう人は少なくありません。私たちは、長年のポラリティセラピーの教育・実践経験を土台としながら、現代人に必要な癒やしの形を探求してきました。
それは、心と身体だけでなく、家族関係や社会とのつながり、生まれ育った土地との関係などを含めて、人を「まるごと」見つめ直すアプローチです。

ときには、家族の中で受け継がれてきた無意識のパターンや、人生で繰り返されるテーマを理解し、そのエネルギーを優しく解き放つために、ファミリーコンスタレーション(家族の関係性を見つめ直すワーク)などの手法も取り入れています。

エンボディメントセラピーは、心・身体・エネルギー・環境のすべてを調和へと導く、現代の時代に合わせて進化し続ける統合的なセラピーです。私たちは、国内外の専門家との交流を通じて常に新しい学びを取り入れ、受講者が深い体験を通して理解を深められる場づくりを大切にしています。

エンボディメントセラピー環境イラスト