生命の極性を整え、心・身体・感情・精神の調和を取り戻す
ポラリティセラピーは、1920年代から自然療法医として活動したランドルフ・ストーン博士によって創始されました。
彼は薬に頼らないさまざまな自然療法を実践する中で、同じ症状を繰り返す患者に限界を感じ、より根本的な癒しを求めて世界各地を旅しました。インドやチベット、中国の伝統医学、西洋のオステオパシーなどを学び、それらの共通原理を統合して体系化したのがポラリティセラピーです。
シカゴで50年以上にわたり臨床を重ね、「望みなし」とされた患者にも改善をもたらした博士の研究は、カリフォルニアへと受け継がれ、2019年には米国で正式な国家資格として認定されるに至りました。

体の「+」と「-」をつなぎなおす
「Polarity(ポラリティ)」とは“極性”を意味します。
磁石のように、人体にも「+」「-」の両極が存在し、その間をエネルギーが流れる構造を持っています。ストーン博士は、この生命エネルギーが「ウルトラソニックコア」と呼ばれる中心軸を基点として放射状に広がることを発見しました。
心身のストレスや感情の抑圧、外傷などによってエネルギーの流れが歪むと、生命の循環が滞り、心身の不調として現れます。
ポラリティセラピーでは、刻々と変化するエネルギーの流れを観察しながら、やわらかな手技によってその歪みを解放し、本来の調和を取り戻していきます。

カウンセリングとボディワークを高いレベルで統合
セッションは、まずクライアントの心理的・感情的状態に丁寧に耳を傾け、心や身体の奥にある声をともに感じ取るカウンセリングから始まります。
心や思考も身体の延長上にある「エネルギーの層」として扱い、対話を通して滞りや分断のある領域を見つけ出します。
たとえば、「感情を抑えて我慢する」傾向がある場合、横隔膜や内臓が緊張し、呼吸や消化の働きが滞ることがあります。
プラクティショナーは身体の極性を理解し、両極を結ぶように手を添えていくことで、エネルギーの歪みを確認し、やさしく整えていきます。
このボディワークは、ストーン博士がカイロプラクティックやオステオパシーの知見を基に発展させたもので、筋肉や骨格の操作を超えて「エネルギー体」に直接働きかけます。
脊柱の周波数を整え、天地のバランスを回復させる繊細なタッチは、神経系を調和へ導き、深い安定をもたらします。

根幹となる技術、クラニオセイクラルセラピー
このボディワークのなかで、脳脊髄液に対しアプローチしていきます。脳脊髄液は、神経を包む大切な液体です。脊柱、脳内を流れ、すべての神経を保護する脳脊髄液の流れを活性し、脳硬膜と全身の緊張の相関関係を観察しながらほどいていきます。この手技は「クラニオセイクラルセラピー」と呼ばれ体系化されています。
ポラリティセラピーの創始者であるストーン博士と、クラニオセイクラルセラピーの創始者であるサザーランド博士は深い交流があり、互いに学び合う関係でした。
ポラリティセラピーではクラニオセイクラルセラピーの技法が内包されており、必須の技術として学ぶこととなります。体が持つ極性やエネルギーサイクルからのアプローチと、クラニオセイクラルセラピーによる脳脊髄液からの技法を交差しながら用いることで、クライアントを本質的な癒やしへと導きます。

六芒星の身体構造 ― 天地のバランスを保つ鍵
ポラリティセラピーでは、身体を「六芒星(ヘキサグラム)」の構造として理解します。
踵・仙骨・後頭骨を結ぶ下の三角形と、頭頂・胸骨・恥骨を結ぶ上の三角形、それらが互いに反映し合い、中心にニュートラルな軸があるとき、身体は天地の調和を保ちます。
この +・-・ニュートラルの三位一体 を整えることが、ポラリティボディワークの本質です。

五大元素の理論 ― 自然のリズムを取り戻す
ポラリティセラピーでは、陰陽のバランスと五大元素(空・風・火・水・地)を通して、心身に流れる生命のリズムを理解します。
たとえば、不眠や慢性疲労は「空のエレメント」が不足している状態と捉え、ボディワークによって、「ゆとり・間・祈り」を取り戻します。
焦りや不安が強い場合は「風のアンバランス」として扱い、呼吸や循環を助けるタッチを通して副交感神経を整え、深い安心へ導きます。
ポラリティの施術はシンプルに見えますが、最も重要なのは施術者の在り方です。
適切な圧と感性をもち、相手を尊重し、非侵入的に触れることーその姿勢が、身体と魂の深い再調和を可能にします。

セラピーの哲学 ― ニュートラルへの回帰
ポラリティセラピーは、痛みや感情を「排除すべきもの」として捉えるのではなく、それらを生命のリズムの一部として観察します。
プラスに偏らず、マイナスにとどまらず、つねにそのあいだを流れる中心軸「ニュートラル」に還る――
それが、生命が本来持つ大いなる循環の原理です。
健康とは、部分的な修復ではなく、「人という存在の全体性」を思い出すこと。
そして、自然とエネルギーを交換している“生命そのもの”を再び感じること。
この学びは単なる技術ではなく、自然と共に生きる智恵そのものです。
当スクールでは、触れること・感じること・祈ることを通して、心・身体・感情・精神が再び調和し、生命のリズムと共鳴する道を共に歩んでいきます。
